無限の隣人に愛の手を。

4月2日 非公式 1部 システム:無限のファンタジア GM:蟻人

無限ファン(むげふぁん、と読む)、当研究会初のオリジナルシナリオ。
世界観説明とキャラメイクには3時間もかかった。
なんと、今回はPLが6名も参加したのだ!

PC1:【団長】"兜割りの"ガズルグワジ リザードマン/狂戦士(デストロイヤー) PL:DAWN
PC2:"キュアメイド"バーリィ エルフ/医術士(ナースウィッチ) PL:茨之介さん
PC3:"紅の守護者"ガーレイン ヒト/武人(ウェポンマスター) PL:左馬
PC4:"無刀の"エリザ ストライダー/翔剣士(フェンサー) PL:小荒
PC5:"水緑藻"ミエリステラス(ミリィ) セイレーン/牙狩人(ハンター) PL:Kさん
PC6:"永遠咲きの"エリス ドリアッド/吟遊詩人(トルバドール) PL:R

PCは10レベルである。
10レベル。
前回、犬グドンにも苦戦した1レベルや、温泉で遊んでいた2レベルとは訳が違う。
ランドアース大陸での冒険者のトップが20レベルらしいから、
10レベルといえば中堅のベテランか。
SWでいえば5-6レベル、十分に国家情勢に関わってくる規模のシナリオをこなせるだろう。
(無論、PBWでは40レベル超の冒険者がごろごろいるが・・・・・・。
上級ルールブックを使用すると21レベル以上が解禁になるらしい。今夏を待て。)

では、セッションを振り返ってみよう。
最初にお詫びしておくが、超長文である。
申し訳ない。



**
≪目次≫

00.国境の街:ナーラッド
01.救いを求めて
02.行動開始!
03.忍び寄る予感
04.ソルレオンvsセイレーン
05.動き始めた影
06.北方の脅威:ノスフェラトゥ
07.必殺"ぐるぐる"アタック!
08.二つの難問
09.たった一つの冴えたやり方
10.夜明けの向う側へ

@感想@
≪註≫

**



00.国境の街:ナーラッド

舞台は、同盟・旧リザードマン領の西北に位置する国境の街、ナーラッド。
人口は約1000人。
領主はリザードマンだが、同盟の各種族も住んでいる。
西のソルレオン、北のモンスター危険地帯を睨む、まさに最前線である。
ナーラッドの砦にはグリモアを擁する聖域がある。
霊査士(シンフォナー)であるプルファラ士団長以下のグリモアガードが駐屯、
国境警備の任に就いている。
近くにはドラゴンズゲート(ワープポイント)が存在し、同盟中央との連絡を保っている。

我々は、ナーラッド・グリモアガードに所属する旅団の一つ、
その名も「執行者たち」(エグゼキューショナーズ)。
旅団タイプは「法の守護者」、旅団の掟は「協力」を選択した。
チームプレイで正義を守る! というスタイルである。



01.救いを求めて

国境向こうのソルレオン領から難民の群がナーラッドに押し寄せるところから、
シナリオが始まる。
その数、約1000人。ナーラッドの人口とほぼ同数だ。

希望のグリモアによる全種族の平等を標榜する同盟の立場上、難民をむげに追い返すことはできない。
彼らはソルレオンでは奉仕種族。
財産扱いされ、酷使に耐えかねて脱走してきた人々だ。
かといって、街に倍の人口をすんなり受け容れる余裕はない。
打ち続いた戦乱のため、城壁は今も修理中。
食糧や水も、十分行き渡るほどはない。
城壁外に難民キャンプを設けるだけでも、ナーラッドには厳しい負担なのだ。

それに、勇猛剛毅なソルレオンが難民を黙って逃がすことはありえない。
必ず彼らの「私有財産」を取り戻すため、
軍を動かしてナーラッドに迫ってくるだろう。
昨今のソルレオンと同盟は、互いに友好を模索しつつも、
主張上でぶつかり合い、幾つも難航する交渉を抱える関係だ。
手をこまねいていれば、同盟は外交上でも不利になる。
カディスに次ぐ第二の係争地になるのはごめんだ。【註1】

さらに、もう一つ問題があった。
難民の3割は、ヒト・エルフ・ストライダーなど同盟で普通に見かける種族。
しかし残りの7割は、
ビートロンという、人間サイズのカブト虫の格好をした昆虫系の亜人種族だったのだ。

(プレイヤーは、
きっとソルレオンの子供の奴隷としてムシ○ングにされそうになったんで、
一族で逃げ出してきたんだろう、と勝手な設定をつけて遊んでいた。)

彼らは、ビィ・イー王と名乗るビートロンの族長を通じて、
同盟による保護と、将来的な同盟への加盟を求めてきた。
こればかりは、ナーラッドの一存では決められない。
同盟中央の、各代表が集う円卓会議で論ずるべき重要な案件だ。



02.行動開始!

幾つもの難題を抱えるはめになったプルファラ士団長は、各地に救援を求める一方。
自らは、ビートロン種族の加盟について円卓会議で動議を提出すべく、ナーラッドを発った。
(ドラゴンズゲートを使えば、
同盟中央のインフィニティゲートへと瞬時に転送してもらえるのである。
1日1回しか使えないが。)

ナーラッド・グリモアガードの指揮はガズル団長に一任された。
士団長不在の間、ソルレオンとの折衝や、難民問題の実事にもあたらねばならない。
責任重大である。

ひとまず我々は、ソルレオン軍の動きを見張る偵察班と、難民とくにビートロン達の実情調査・対応班に分かれた。
前者がガーレイン・エリザ・ミリィ、後者がガズル団長・バーリィ・エリスという内訳だ。
偵察班としては、足が速いくせに偵察に乗り気でないエリザをガーレインが守ることにし、
ガーレインに感情で〈純愛〉を付けているミリィがくっついてきた。
団長は街と難民の間に立たねばならないし、バーリィはいっしょに行動、バランスからエリスも後者となる。
(偵察班の編成は適当だったが、これが大当たりとなる。
ナーラッド・グリモアガードに属する他の2旅団は、言うまでもないが砦(=聖域)の防備に回した。



03.忍び寄る予感

難民達には城壁修理を手伝ってもらう代りに、
食事や寝床を提供する条件で頑張ってもらう方針で。
近隣からの食糧調達も行い、短期的には落ち着きそう。
バーリィは「御主人様(仮)」(=団長)とともに「御奉仕」と銘打って、ナースウィッチらしく看護して回り。
エリスは楽器演奏しつつ歌を披露するトルバドールっぷり。
まさに、難民慰安団であった。

他の難民に比べてビートロン達は、街の北側の荒地を提供されるなど冷遇されていたが。
ビィ・イー王は話せる人(?)で、団長が待遇改善をナーラッドの領主と話し合う間、一族を抑えて待っててくれた。
外見は人サイズのカブト虫だが、どうしてどうして真っ当なビート○ズ、じゃなかったビートロン達である。
それとも、よっぽどムシキ○グがいやだったんだろうか?<しつこい

さて、座り込んだビートロン達の間を巡っていると、隅の方から、

「死と再生のメシア様、どうかお救いください・・・・・・」

とぶつぶついう声が。
うあ。何かヤバげな新興宗教が流行ってないか?
探してみるも、ビートロンの個体識別ができず無理でした。



04.ソルレオンvsセイレーン

偵察に向かったガーレインらは、
約100名からなるソルレオン軍が国境を越え、ナーラッドへ向けて進軍してくるのを発見。
その半数以上がビートロンの一般兵士。
なるほど、ソルレオンはビートロンを前線部隊に仕立てるつもりか。
硬いし、体力(=HP)はあるし、弾避けにはぴったりだな。

ともかく、このまま先に進ませてはいけない。
ナーラッド・グリモアガードの冒険者は我々を含めて3旅団しかない。
ソルレオン派遣軍と正面から対抗するのは無理だ。

指揮隊長NPC:ソルレオンの武人ラグラス、を見つけて交渉に入る。
(ちなみに他の指揮隊員は全員ソルレオンの重騎士(泣))
なぜか、高台から格好をつけて止めにかかる。
こっそり逃げ道を確保しといたのは秘密だ。

ガーレイン「同盟領にその数で進むのは宣戦行為だ。代表者だけ参られよ!」
ラグラス「我らの『私有財産』を取り戻すため、使者として軍を率いてきたのだ。我らには我らソルレオンの流儀がある。」

ぐはっ。さ、さすがソルレオン。
身体を光らせた(=グリモアエフェクトを使うと光るらしい)スゴイ説得に抵抗するとは。
ならば、これならどうだ?

ミリィ「まぁ、そうおっしゃらず。皆々様を歓待するには少し殿方が多すぎますわ?」
ラグラス「・・・・・・むむ・・・・・・ならば数名ほど選んで行こうか・・・・・・」

セイレーンであるミリィの特技、『誘惑』が炸裂した。
ラグラス以下数名を除いてソルレオン軍は国境線まで退くことに。
恐るべしセイレーン。



05.動き始めた影

偵察班はナーラッドに戻る。PC同士で情報を共有し、作戦を練った。
とはいえ、円卓会議の意見待ちに変わりはない。
ラグラスとの交渉は、ガズル団長以下残っている面子には権限がないと理解してもらい、猶予してもらう方針で。
これまたミリィが宴を整えて酌をして回るなど、大活躍。
引き延ばし策に成功する。
(2005年3月時点でPBWでは同盟にセイレーンは加盟していないが。
早く引き込むべきだな。彼女らは強いぜ・・・・・・。

あとは、ドラゴンズゲートを通じて中央にバイアスのかかった情報を送り、現場の意見へと誘導するぐらい。

「緊張が高まり、ヤバい状況です!」
「援軍と、食糧や資材の援助を!」


などと言ってみたり。
ま、これぐらいは許されるだろう。

あと、ソルレオンが『私有財産』とみなしているのなら、
ビートロン一族ごと買い取れないか? という案までも浮上。
ラグラスなど半値でもいいよ、と言ってくれたのだが。
(本当にソルレオンは話し合えるいい人たちだ)
にしてもビートロン全員は、ちと高値の買い物。
どれくらいかというと、子供がム○キング筐体を二三台大人買いするぐらい高い。<分かりにくいネタを……
ひとまず、ラグラス達は現状報告にソルレオンへと帰ることになった。

そうこうしていると、街で騒ぎが。
駆けつけてみれば、リザードマンがビートロンをびしばしと鞭打って作業させている。
ああ、こりゃまずい。同盟に入る前のリザードマンの慣習がこんなとこで。
(リザードマンは加盟以前、領内の奉仕種族をまさに奴隷として扱っていた)
鞭を取り上げて、無抵抗のビートロンを救出。
同盟の博愛主義を説いても効目が薄いので、

ミリィ「この先同盟がナーラッドに目を向けたとき、責任とらされたくないでしょ?

分かりやすく説得。
ビートロンの方は、何か悟ったように静か。
ん? 
何か胸の印を握り締めて呟いてる?

「メシア様・・・・・・」

ああ、例の新興宗教か。
話を聞こうとして囲み脅しつけるが、肝心のことは喋ってもらえない。
わざと逃がして追ってみたが、ダイスの出目が悪く、同族の中に紛れこまれてしまった。
だから、ビートロンの個体識別はできないんだってば。

ビィ・イー王に聞いたところ、メシア信仰はソルレオンからの脱出後から流行り始めたらしい。
そして族長の自分でも、メシア信仰に染まった仲間を統率できるかは自信がないという。
これは・・・・・・何者かが裏で画策している?
調べてもらったところ、何人(匹?)かのメシア信者のビートロン達が行方不明になっており、
どうやら北へ向かったことが判明した。

北は、モンスターと・・・・・・アンデッドの危険地帯である。



06.北方の脅威:ノスフェラトゥ

ここでガーレインが力説。

ガーレイン「北には、『ノスフェラトゥ』というアンデッドを操る種族の本拠地がある。
策謀に長け、これまでも裏で暗躍してきた危険な奴らだ。【註2】
北のグリモアガードが一つ、連中の攻撃で壊滅した過去もある。
そのアンデッド軍団に対抗するため、同盟はPCを4000人も結集したのだ!【註3】
『死と再生のメシア』なる言葉からは、アンデッドが連想される。
今回、ノスフェラトゥが背後で糸を引いている可能性は高いぞ!」

(PBWをチェックしていたのは私ぐらいだったので、
背景としてこういう情報があるよ、と他PLに伝えておきたかったのです。
・・・・・・しかし、18歳キャラの台詞じゃねーな。

団長以下悩みに悩むが。
往復で5日程度の期間をかけること、ナーラッドを留守にする危険性を考えても、
北方を確かめておくべきだ、という結論になった。
砦にお守り部隊を残して、PC全員で北へ。
ビィ・イー王の信用できる部下を1人(匹?)借りて、ついてきてもらった。
PCを信用してもらい、現状を認識してもらうためのパイプ役を期待して。

北へ3日目。
果たせるかな、我々は戦闘跡を見つけた。
ソルレオンの戦士たちが数名と、ビートロンが2名。
いずれも屍となって折り重なって倒れている。
ビートロンのうち1体には、例のメシア信仰の印が首からかけられているようだ。
近づかなければ、良く観察できない。

注意深く間を詰めたが・・・・・・思った通りアンデッドと化しており、起き上がって襲ってきた。
ソルレオンの屍は、明らかにラグラスら使者たち。
帰り際を襲われたようだ。

くそっ、先手を取られた。
使者を殺して、ソルレオンに同盟側への不信感を植えつける魂胆か!
しかし、今は降りかかる火の粉だ。

戦闘開始!



07.必殺"ぐるぐる"アタック!

前衛:【団長】狂戦士ガズル・武人ガーレイン・翔剣士エリザ
後衛:医術士バーリィ・牙狩人ミリィ・吟遊詩人エリス


対アンデッド戦は、先手必勝でダメージ集中。これ基本。

団長は狂戦士のアビリティ『ファイアブレード』で大ダメージをたたき出す。
・・・・・・当ろうが外れようが、自分が麻痺するのが欠点だが。
バッドステータスは、自ターンが回ってきたときD20で幸運値以下を出せば回復する。
団長、根性だ。

ガーレインは『流水撃』で前衛全てを攻撃。
視界内対象への全体攻撃アビリティだ。
今回装備したのはこの『流水撃』12回だけだが、威力は十分。

エリザは"無刀"を名乗るだけあって、翔剣士のくせに剣がない。腰のは竹光だ。どうするつもり?

『リングスラッシャー』で下僕となる衝撃波を生んで盾にし、その影からヨーヨー攻撃。
・・・・・・実に小荒君らしい戦い方だ。

また、意外なことに、無限ファンのアンデッドはバッドステータスに弱い。
死亡済みのため、幸運値が低いからだ。
(アンデッドだろーが、寝たり麻痺ったりする世界なのである。ここは。)

それゆえ。
牙狩人のミリィは『影縫いの矢』で敵の行動を封じ、
エリザはヨーヨー攻撃の合間に『幻惑の剣舞』で敵を混乱させる。
残念ながら、吟遊詩人であるエリスのアビリティは、アンデッド相手にはあまり役に立たなかった。
・・・・・・命中するとファンファーレが鳴る攻撃、撃ってもなあ。【註4】

そして、医術士バーリィは『癒しの水滴』『ヒーリングウェーブ』といった、
回復アビリティを溢れるほどの回数持ってきている。万全の構え。

しかし。
実は、ダメージ集中でもバッドステータス攻撃でもなく。

≪手番を渡さない≫"ぐるぐる"アタックこそが、勝負の決め手だった。

説明しよう。

①待ち伏せなど優れた戦術行動を取ると、旅団に入る「戦術ポイント」
②消費すると、自ターンを待たずに隣席のPLに続けて行動できる【コンビネーション】が使える。
PCは攻撃を選択。
幸運値を1点消費し、グリモアエフェクトを使用する。
⑤するとPL全員がD20を振り、そのなかで最小の値を判定に適用するのだが。
 このとき、グリモアエフェクトを使用したPCから、最小値を出したPCに対して、
 何らかの「感情ポイント」がつく。
 (〈冒険仲間〉とか〈友情〉とか〈固い絆〉とか。異性だと〈片思い〉〈純愛〉がつくことも。
   同じ「感情」が複数ついても大丈夫。・・・・・・ちなみに感情はランダムにつく)
⑥そして「感情ポイント」を消費すると「戦術ポイント」のように
 【コンビネーション】
を使えるのだ。
次のPLさん、③からどうぞ。

これを繰り返すと、GMを飛び越えて、延々とPL側だけで攻撃しつづけることができる。
PCの幸運値の続く限り。
(幸運値の初期値は8点。シナリオ終了後にプレイ1時間あたり1点回復する。)
しかもグリモアエフェクトを使いっぱなしなので、PCは光ってスゴイ攻撃を放ち、
対する敵はサンドバッグ状態・・・・・・いいのか?

GM「いいんじゃないですか? ルールブック見ましたが、いけないとは書いてませんね【註5】

お言葉に甘えて。

ドカ、バキ、グシャ。

あ、そうそう。
旅団の掟「協力」を満たさなきゃいけなかった。
なになに、1ターンの間に全員で同一目標に命中打を与えること?
『影縫いの矢』で動けなくなっている敵を、集中攻撃する我々。
・・・・・・ていうか、命中させるだけ。
あ、団長外さないでくれよ。また最初からやり直しじゃないか。


08.二つの難問

まったりした戦闘終了後、
駆けつけたソルレオンの国境部隊が我々と"死に直した"アンデッドを囲む。
ラグラスらの死体を見て、強く詰問されるが。大丈夫。

ソルレオンには、嘘を見抜く能力があるのだ。

「我々は、アンデッドと化した彼らと戦っただけです」
「ソルレオンの霊査士に、メシア教の印を霊視してもらってください」
「事件の背後には、ノスフェラトゥがいると確信しています」

嘘ついてないよー。頼むー見抜いてくれー。おーねーがーいー。

何とか信用してもらい、印を持って帰ってもらう。
(本物でないと霊視できないから。写しは作っておいた)
こっちからは、エリザとエリスのエリ×2コンビを付けておく。
彼女らは、格子の嵌った優雅な乗り物で奉仕種族扱いを受けていたが、それはまた別の話。

我々はすぐさまナーラッドに取って返す。
なぜかビートロン達が騒いでるぞ。・・・・・・ビィ・イー王がいない? 領主に囚われている?
んなことやってる場合じゃないってーの!
領主の館に乗り込み、待遇問題の話し合いを口実に軟禁されてたビィ・イー王を救出。
ビートロンの待遇を保証した後。

(1)潜んでいるはずの、メシア信者をどうするか。
(2)近いうちに起こるはずの、アンデッド襲撃に対してどうするか。


二つの難問に、頭を悩ませることに。

まず(1)だが、メシア信者を見分ける方法が、例の印ぐらいしかない。
秘密のうちに捜索するなら密告頼りになる。
不確実だし、魔女狩りを起こしかねない。
かといって一斉捜索するなら、人手もいるし告知も打たねばならない。
自分がメシア信者なら、すぐさま印を土に埋めるだろう。うーん。
結局、一斉捜索したけど信者は見つからなかった。
でもメシア信者がいると街の人々に言っておかないといかんしなあ。

次は(2)。
アンデッド軍団が襲ってくるなら、ナーラッドは絶対的に戦力が足りない。
そもそも最前線なのに、どうして街の人々は全員冒険者にならんのだ、
と問うPLもいたぐらい。
ちょっと過激だが、言いたい事もわかる。

そっちは棚上げして、とりあえず手近な戦力を引き寄せられるかどうか。
そう。
話の分かる隣人、ソルレオンだ。
(1)に取り組んでいる間、帰って来たエリ×2コンビと、ガズル団長がソルレオン領へ。
ノスフェラトゥの脅威を訴え、領内の警戒と軍勢の供与を願い出た。
再びグリモアエフェクトで光って交渉するも、出目が悪く失敗。
ソルレオンは独自に自領内の警戒を強めるのには同意したが、軍は貸してくれなかった。

「WE WANT YOU!!」と募集して、できるだけ街の人々を1レベル冒険者へ変えたが、
まだ足りない。
プルファラ士団長が中央から帰還し、ガズル団長は重責から解放されたものの。
同盟中央の意見が定まるには、まだ時間がかかる。援軍もすぐには来ない。

いよいよ手詰まりか・・・・・・。



09.たった一つの冴えたやり方

いや、違う。
我々には、起死回生のプランが見えていた。
戦力不足を一気に解消し、アンデッド軍団とも互角以上に戦える方策が、一つだけある。

ルール上の問題はない。GMに確認した。【註6】
問題があるとすれば・・・・・・余りに重大な越権行為にあたるということ。
しかし、時間の猶予はない。

旅団内で決を採る。
ガズル団長とガーレインは積極的賛成。
バーリィとエリスは、ガズル団長に同意する消極的賛成。
ミリィとエリザは、消極的反対。
(むろん越権行為に当るのが理由だが、これに加えてミリィは、
 感情:〈純愛〉を付けているガーレインが責任を問われるのが嫌だったらしい。
 ロールに忠実なプレイといえよう。)

賛成多数を背に、ガズル団長は覚悟を決めた。

プルファラ士団長を説得。もちろん光って説得。無理やり押し通した。
街の人々にも、ビィ・イー王はじめビートロン達にも、緊急事態を理由に納得してもらった。
そして、ビートロン達には一つ絶対条件を呑んでもらった。
もう後には引けない。

プランは実行された。


ナーラッドの砦(=聖域)に我々プラン賛成者とビィ・イー王が入り、他の全員が退去。
②グリモアガード所属部隊は周辺を警戒。内通者にも注意。
③聖域内の全員で、グリモアを≪ビートロンに委譲する≫案に、心から賛同する。

この瞬間、ナーラッドのグリモアはビートロン達の所有となった。

新たな列強種族の誕生である。


一つの絶対条件とは。
ビィ・イー王以下ビートロン達全員が≪冒険者となる≫ことである。

これでビートロンは全員アンデッドとの戦闘に参加する。せざるをえない。
今度モンスターにナーラッドのグリモアを奪われれば、
これが種族に一つしかないグリモアである彼らは、全員モンスター化してしまうからだ。

1レベルながら、硬く体力に優れ、統率の取れた冒険者が700人(匹?)誕生し。
ナーラッドの砦を防御するべく≪背水の陣≫を敷いた。

デメリットとしては、
ビートロンの中にメシア信者がおり、こいつらも冒険者化してしまったこと。
越権行為の責任を同盟中央で問われるだろうこと。
しかし、前者は数的に僅かであり、後者は生き延びてから考えればよいことだ。

時間はもはや、ナーラッドの味方だ。
同盟中央から援軍が来るまで、アンデッドから聖域を守り通せばよいだけだから。
ノスフェラトゥとしても、動かざるを得ない。

そして最後の夜が来た。



10.夜明けの向う側へ

我々は、聖域の内陣で待ち構えていた。
外からは、アンデッドと交戦する音が響いてくるが、ビートロン達は良くやっているようだ。
我々の目的はただ一つ。
「グリモアを守ること」・・・・・・というよりは。
「聖域内にとどまり、生存しつづけること」である。

グリモアは、移動・破壊ともに不可能な代物であり、直接守る必要は全くない。
ノスフェラトゥ率いるアンデッド軍団がグリモアを支配するには、
ビートロン達や我々グリモアガード部隊を聖域内から追い出すか壊滅させて、
自分達だけが聖域内にいる状態を作り出し、グリモア支配を叫ぶしかないのだ。
つまり、
聖域内で「アンデッドなんかにグリモアを渡すものか!」と考えているだけで、
連中の目的達成を妨げられるのである。

内陣で待ち伏せていた理由は、最も守りが堅いこと。
通路等に罠を幾らでも仕掛けられること。
これらにより「戦術ポイント」が稼げること。
あと、グリモアの前だと絵になるから、ぐらいかな?

そして悪魔がやってきた。ビートロン・ゾンビなどアンデッド部隊を引き連れて。
こちらの配置は、いつも通りの3トップ−3バックを堅持。

最終戦闘だ! 必殺! ≪手番を渡さない≫"ぐるぐる"アタック開始!!

『ファイアブレード』、『流水撃』、『リングスラッシャー』。
『影縫いの矢』、『幻惑の剣舞』、『癒しの水滴』。


3周ほど一方的に殴りつづけ、
残ったのは悪魔と硬くて堅いビートロン・ゾンビぐらいのもの。
(ビートロン・ゾンビなんか、HP250ぐらいあったぞ・・・・・・団長やガーレインの倍かよ
残り幸運値は2-3点と少なくなったが、あとは通常攻撃でも大丈夫。
危なげなく勝ちきったのだった。

やはり、PCが6人もいるのが大きかった。
手数だけでなく、グリモアエフェクトの期待値が違ってくるからだ。

それよりも、PLとしては。
戦闘中にあぶくのようについては消え、消えてはつく「感情ポイント」に大爆笑。

「あ、また団長に〈友情〉付いちゃった。2個もいらないから次消すね」
「うげっ。〈片思い〉いらねーし。絶対次に使ってやる〜」
「〈冒険仲間〉と〈固い絆〉と〈友情〉か。どれから消そうかな?」


こんな会話ばっかり。

何はともあれ、最後の敵を見事に倒したあと。
黒幕のノスフェラトゥが出現した。
といっても、吸血鬼の少女が捨て台詞を吐いて、飛んで逃げていっただけだが。

夜が明け、無事を喜びあい。ナーラッドの街に朝陽が射した頃。
ドラゴンズゲートから、同盟中央・円卓会議への召喚命令がついに来た。
ガズル団長宛である。

出頭して弁論を述べるガズル団長だが。

「同盟は、ビートロン種族の加盟を認めます」
「しかし同盟中央の許可を得ず、ナーラッドのグリモアをビートロン達に委譲した件は、
 護衛士団長代理としても重大な越権行為であり、責任を問わざるを得ません」

「ナーラッドが置かれていた状況を鑑みると、情状酌量の余地はありますが」
「そこでガズル団長、貴方には」

判決は下った。

「新大陸探査の旅に出てもらいます。」

以下は各人のエピローグとなる。

ガズル団長は、新大陸探査の旅団を率いる任を負い、我々に別れを告げた。
吟遊詩人のエリスは、サーガを紡ぐため団長についていった。
ナースウィッチのバーリィは、「御主人様(仮)」の団長についていっただろうか?
ガーレインは、団長から旅団を受け継いだ。
ミリィとエリザは残って、見送った。

国境の街ナーラッドを巡る物語は、こうして幕を閉じたのであった。

2005年4月2日 冒険結果:成功!

【了】



@感想@

見事なシナリオだった。ソルレオンとノスフェラトゥを相手とする、三つ巴の構造。ビートロンの難民という斬新さ。そして何より、無限のファンタジアの要であるグリモアを巡って話が展開し、きちんとPBWの世界観が生かされている。普通はPL6人ともなると、シナリオに負担がかかるものだが。緻密に設定されたミッション目標が、シナリオに堅牢な筋を一本通している。また、萌えキャラや美少女モンスターがいなくても、無限ファンのシナリオは成立することを教えてくれた(笑)。無限ファンのPBWも含め、今まで見た中で最も楽しめたシナリオであったと断言しよう。

以下に、セッション終了後の感想を転記した。



PC1:【団長】"兜割りの"ガズルグワジ リザードマン/狂戦士(デストロイヤー) PL:DAWN
「リザードマンは楽しかった。戦術ポイント使いまくりでの無限コンボは恐ろしい。
 しかし何か忘れている気が・・・・・・ああ、萌えキャラがいないのか。

PC2:"キュアメイド"バーリィ エルフ/医術士(ナースウィッチ) PL:茨之介さん
「NPCがライトファンタジーじゃなくて蟻人ワールド。小荒君(は)不満(だったみたい)。
 面白かったけど。ナースウィッチしんどいわ。

PC3:"紅の守護者"ガーレイン ヒト/武人(ウェポンマスター) PL:左馬
「『無限のファンタジア』は旅団内恋愛推奨システムです。
 惜しむらくは感情が付いては消えるとこか。
 まあ今回は妥当なオチかなー。結構な越権行為をやってたしな。
 団長、君の決断は素晴らしかった。新大陸でも元気でな。

PC4:"無刀の"エリザ ストライダー/翔剣士(フェンサー) PL:小荒
「敵モンスターに一人も美少女がいなかった。
 これは無限のファンタジアじゃないんじゃないでしょうか。

PC5:"水緑藻"ミエリステラス(ミリィ) セイレーン/牙狩人(ハンター) PL:Kさん
「結局、まぬけなマネをしている精神的余裕がなかった。人数が多かったんだから、
 ぼーっとしていてもよかったか(笑)。しかし、我々のやり方はやりすぎだと思うがな〜。

PC6:"永遠咲きの"エリス ドリアッド/吟遊詩人(トルバドール) PL:R
「いや、かっこいいシステムです。この戦闘、最高。行動ではあまり動けなかったですな。
 シナリオは楽しめました。カブト虫強えー(笑)。あと、楽器は遠距離武器だと主張しますよ。
 後衛のはずの吟遊詩人やること無ぇー!(怒)

GM:蟻人
やっぱり6人は多いな。



≪註≫

以下の註釈リンクは、
いずれも無限のファンタジア公式サイト上の情報記事より引用させていただいた。

□リゼルの同盟探検隊□
http://t-walker.jp/mugefan/html/jyouhou/jyouhou_index.htm

等を参照してほしい。



【註1】

2005年2月時点で、ソルレオンは、
「旧リザードマン領・カディスを、同盟の信義を証すために割譲せよ」
と要求している。
同盟側は、カディス割譲案には応じずに、
別の方策でソルレオンと交渉継続しようという意見が大勢を占めている。

■ソルレオン、会談にてカディスの割譲を要求
http://t-walker.jp/mugefan/html/jyouhou/nw02/nw02_02.htm

■≪西の双璧ノルグランド≫国境線の会談
http://t-walker.jp/mugefan/adventure/replay.cgi?sceid=4043

2005年4月2日現在、直接交渉担当者のノルグランド護衛士団は、
カディス護衛士団を旧東方ソルレオン領(モンスター地域)の東側に移動させる、
というカディス地域の防衛力削減案を提案し、
カディス護衛士団(団長はリザードマン)、およびソルレオンの双方に了承を得ている模様。

■≪西の双璧ノルグランド≫誇りの向かう先
http://t-walker.jp/mugefan/adventure/replay.cgi?sceid=4472

【註2】

ノスフェラトゥ自身は、知性のあるアンデッドらしい。
初期に同盟とリザードマン領が戦争していた頃、
リザードマンの王の側に、とある邪竜導士が侍っていたという情報があり、
捕縛された前リザードマン王への審問で、事実と確認された。
後にこの邪竜導士パンドラこそ、ノスフェラトゥであると判明する。

■【円卓の間 番外】バグウォッシュ審問
http://t-walker.jp/mugefan/event/e12s01rp.htm

また、以前にソルレオンを同盟と噛み合せるための工作を行った形跡がある。
同盟が介入した結果、アンデッドによる工作をくじくことには成功したが、
ソルレオンの法廷で前ノルグランド護衛士団団長が死罪判決を受け、捕囚の身となった。

■≪西の双璧ノルグランド≫法と正義と
http://t-walker.jp/mugefan/adventure/replay.cgi?sceid=3329

【註3】

ノスフェラトゥ戦役の前半戦。
ドラゴンズゲート【死者の祭壇】から湧いたアンデッド軍団は、
前項に出てくるパンドラの指揮により、≪北の剣≫アンサラーを襲撃しこれを壊滅。
次に北の砦エルドールを襲うも、同盟が結集したPC軍により敗走した。
にしても、PC4000名はフカシすぎ。
エルドール防衛戦の参加PC、本当は2000人ぐらいしかいませんでした。ごめんちゃい。訂正。

□ノスフェラトゥ戦役 〜チキンレッグ同盟加入へ〜
http://t-walker.jp/mugefan/html/jyouhou/nw01/nw01_01.htm

■アンサラー陥落
http://t-walker.jp/mugefan/html/ivent/ivent21/ivent21_kouya.htm

■エルドール防衛戦
http://t-walker.jp/mugefan/html/ivent/ivent21/ivent21_eldor.htm

【註4】

アビリティの一覧表。

■図書館 <冒険者クラスとアビリティ>
http://t-walker.jp/mugefan/html/world/world07.htm

【註5】

実際、この"ぐるぐる"アタックを前提として、無限ファンの戦闘バランスは組まれているようだ。
これなら確かに、付属シナリオ1の犬グドン10体など楽勝である。
(アレの状況が不自然なのは変わらんけどね。)

極限まで幸運値を使用すれば、
1レベルの冒険者4−5人で、14−15レベルモンスター1体を相手にできる。
という試算すらあるらしい。本当かどうか知らないが。

ちなみに、1レベル冒険者で16レベルモンスターに挑戦するのは勇み足。
15レベル以下では届かない、
「16倍成功」を繰り出す異次元生命体に殺されるので注意しよう。

【註6】

私が心配だった疑問とは、

「グリモア委譲に伴って、我々同盟側の冒険者がモンスター化してしまわないか?」

というもの。
GM説明を、私が解釈したところでは、

「同盟の冒険者は、主グリモアである≪希望のグリモア≫に力を依存しているため、
 ≪希望のグリモア≫が奪われない限りモンスター化の心配はない。
 ナーラッドのグリモアは同盟にとってはあくまで従属グリモアであり、委譲すると、
 ≪希望のグリモア≫のグリモアレベルが落ちるのがデメリットといえばデメリット」


とのこと。
公式見解かどうかはともかく、
今回のシナリオではこの解釈にしたがってプレイ方針を決定した。
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