猫を追って〜月面大戦争〜

システム:クトゥルフの呼び声 GM:AG

4/22に行われた新歓セッションのレポートです。
今回はCoCをやったのですが、『ラヴクラフトの幻夢郷』というサプリを使い、ドリームランドを舞台としたシナリオをやりました。ホラーというよりは異世界冒険ものという雰囲気です。


ドリームランドの簡単な説明:
中世くらいの文明レベルで、魔術が認知されていて、化け物(神話生物)がいて……という、平たく言うとクトゥルフ神話的なファンタジー世界です。
PC達は夢見る人となり、我々の普段住んでいる世界(覚醒世界)から夢を見ることでドリームランドに行きます。夢見る人は、ドリームランド専用技能〈夢見〉を使って物を創造したり、ヒール魔法を使ったりと色々と凄いことができたりします。
神話生物は覚醒世界よりももっと身近で、人々の間でも化け物として多少認知されており、もちろん敵となることもありますが、原作(HPL著『未知なるカダスを夢に求めて』等)で見られるように、仲良くなって協力して冒険を進めることもあります。
 ドリームランドではSANが減っても発狂しませんが、周りの夢の現実を思わず改変してしまって何かよくないことが起こることがあります。
PC1:トミー、職業:自称“天才”科学者 (PL:新入生)
 黒人の自称天才科学者。知識欲が凄く、科学の信奉者だが、ドリームランドに行ってしばらくすると夢の雰囲気にも馴染んでいた。弓矢が使えるし作れる。

PC2:シリル、職業:事務員 (PL:新入生)
 アラスカ出身で、田舎が嫌で都会に出てきたが、俗世にも嫌気がさして理想の世界を夢見ている。ハルバード部隊その1.

PC3:アルバート、職業:無し (PL:新入生)
 学校に行くこともなく、就職するやる気も起こらない引きこもり。ハルバード部隊その2だが、マーシャルアーツキックも使える両刀。

PC4:サンジェルマン、職業:探偵(空き巣) (PL:セーブキモ)
 フランス系移民の子孫。真面目に働くのが嫌で空き巣をしているが、猫のためにのみ真面目に働く。ブラックジャックで殴る。なんとPOW18.

PC5:ダニエル、職業:ジム経営者 (PL:破損)
 5年ほど滞在していた日本の影響を受け、アメリカでもその文化を広めようと空手道場を開いた。夢の中では攻撃力を高めるため〈夢見〉を駆使し、筋肉(STR)を増量したりかぎ爪を生やしたりして人外と化す。

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 舞台は1920年代アメリカ、ニューヨーク。PC達は皆大の猫好きで、5人で101匹の猫を飼っている。また、中世に憧れ、中世の武器を集めてハルバードを装備し鎧を着て演習し、「猫の騎士団」を自称している。そんな普段から夢見がちというか浮世離れした集団であったが、ある日同時に同じ夢を見たのであった。それは、隕石が衝突し、欠けていく月に猫が跳躍していくという夢だった。起きてみると、実際に101匹の中のアッシュとブライアンという二匹の猫がいなくなっている。猫好きのPC達は、これは大変だと捜索に向かった。

 街でしばらく探していると、一匹の猫を見つける。ただ、その猫はある者にはアッシュに、あるものにはブライアンに見えるという不思議な猫だった。その猫を追ううち、PC達は占い小屋に辿り着く。そこにいる占い師が言うには、PC達の探している猫はドリームランドにおり、外敵と戦って酷く傷ついているのだという。そう言うと占い師は、枕の下に敷くとドリームランドに行けるというキャッツアイをPC達に渡した。占い師は、信じていない様子のPC達を見るとおもむろに顔を隠していたフードを取った。そこにあったのは人間ではなく美しい猫の顔であり、みるみるうちにさっきの不思議な猫となって小屋を飛び出していくのだった。

 半信半疑ながらもPC達はそれぞれの家に帰り、言われた通りにキャッツアイを枕に敷いて寝ることにした。すると鮮明な夢を見て、入口の七十段の階段を下りる途中にいた門番の老人によると、どうやらドリームランドに来たらしい。さらに七百段の階段を下り、あやかしの森を抜け、川沿いの丘を歩いてPC達は猫の街ウルタールに到着する。ただ、「猫の街」と聞いていた割には猫、特に成猫が少ないように感じる。子猫がPC達の元にたくさん寄って来て、PC達が鼻の下を伸ばしている中、一匹の子猫がアルバートのズボンの裾を引っ張った。子猫について行くと傷だらけの成猫が肉食魚に襲われているところで、助け出すとPC達の猫を含む他の猫達は現在月で、土星から来た猫と戦争をしているのだという。PC達は月に行くことを決め、跳躍する猫達に捕まって、異形の神の幼生が渦巻く危険なエーテルの宇宙を越え、とうとう月面に着陸した。人類が未だかつて成し遂げたことのない偉業だ。

 着陸したクレーターの中では、おびただしい数の猫が、かつて覚醒世界で見たような猫の顔をした女神(バースト)の像の傍で傷を癒していた。説明によると、PC達の猫を含む夢見る猫(覚醒世界からやってきた猫)は、複数の命を持ち、一度受けた傷ではもう死なないという面倒な特殊能力を持つため、土星の猫と同盟を組んでいる月の裏側の化け物(月棲獣、ムーンビースト)に捕らわれてしまっている。そのため地球の猫側の戦力は陥落した地帯を取り戻すには足りず困っているのだという。PC達はまずは夢見る猫を解放するため、月棲獣が住む月の裏側の調査に向かった。

 シリルが、月棲獣が使役する人間に似た奴隷(レンの男)に〈変装〉し、月樹の丘で働く奴隷に話を聞いた。このとき等のシリルは奴隷の姿のあまりの恐ろしさにSANを減らし、心臓が飛び跳ねて起きてしまいそうになるが、なんとか踏みとどまった。一方、隠れて物陰に潜んでいたトミーは〈夢見〉で皮手袋と瓶を作り出し、致死毒を持つという月樹の樹液を安全に採取することに成功する。この樹液を精製すると月棲獣が愛好するワインとなるらしい。その後一旦引き返し、今度は丘を迂回して月棲獣の住む都市へ向かう。途中、地球のドリームランドから来たという行商人(吊り目の商人)と出会い、月の領主に会ってはどうかと勧められる。窓の無い塔のような高い建物が立ち並ぶ都市に着いた時、シリルは再び月棲獣の姿に恐怖し、今度はたまらず覚醒してしまう。起きてしまったシリルと待機中のダニエル以外の3人は最初都市を隠れながら捜索しようとするものの結局は月棲獣に見つかってしまう。しかし、月棲獣は人間に対して意外と親切(?)で、ギャギャギャと涎を垂らしいやらしく笑いながらも領主の邸宅の場所を教えてくれた。ここで2人とも合流し、皆で邸宅に向かう。月の領主はともかく見た目は人間で、それもとても若々しく、整った顔立ちをしていた。彼は自分を神のような存在であると名乗り、夢見る人であるPC達を歓迎する。月の領主はPC達に、自分の臣下、つまり神の代理人となって今後働いてくれるのならば、月棲獣や奴隷に命令する権力と全能とも言える能力を約束しようと持ち掛けるが、身の危険を察知したPC達はそれを最後の手段として保留して去った。

 かくして自分たちの力で解決しようと決意したPC達は、まず月棲獣の都市のゴミ捨て場に自分の仲間の骨(月棲獣はレンの男のうち太っているものは食べ、痩せているものは働かせるのだ)を捨てに行く奴隷を拷問し、夢見る猫が捕らわれている建物のことを聞き出そうとする。捕らわれているのは3階建てで比較的低い建物だということと大まかな方向までは聞き出すことに成功したものの、案内させようとすると周りの月棲獣に助けを求めそうだったため、その奴隷はハルバードで殺害されゴミ捨て場の肉塊と化した。その後ダニエルが何故か巧みな〈ナビゲート〉に失敗したり、他のPCが〈目星〉でフォローを入れたりしながら目的の建物にたどり着くことができた。PC達はまずMPを出し合って〈夢見〉でワインを作り、採取しておいた毒を持つという月樹の樹液を混入させ、奴隷に扮したシリルが献上するという作戦を実行してみた。だが月棲獣も馬鹿ではないようで、シリルが退散したと同時に建物の中で投げつけられたワイン瓶が割れる音が聞こえる。作戦が失敗したので今度はPC達5人がかりで月棲獣を襲撃した。案外楽に倒すことができたものの、騒ぎを聞きつけた月棲獣が何体も建物に近づいてきているのを知ったPC達は、〈夢見〉で建物の入り口に壁を生成し時間稼ぎをし、さっさと上階に上がることにした。2階は無人の祭壇のようで、月の領主に似た顔つきの像が祀ってあった。そのまま3階に上がると、どこから持ち込んだのか大きなコンテナが部屋の隅の魔法陣の上に置いてあり、その中からニャーニャーという声とひっかき音がする。PC達はその部屋で呑気に拷問道具の手入れをしていた月棲獣も打ち倒し、〈鍵開け〉で猫達をコンテナから解放した。しかし、ちょうどその時下の階から、壁を破壊し終わった月棲獣たちが怒涛のように押しかけて来たのだ! PC達と夢見る猫達は〈夢見〉を使って覚醒を試みる。トミーのみが逃げ遅れてしまうものの、なんとか寸でのところで彼も逃げ切ることができたのだった。

 PC達と夢見る猫達は改めてドリームランドに入り、表のクレーターに集合した。人員(猫員?)が揃ったので、今度は土星からの猫に攻め入るのだ。PC達は寄り集まって空飛ぶ絨毯のように跳躍する猫たちの上に乗り、月棲獣の都市の上空を越えて、共に陥落地帯へとたどり着く。そこで猫の軍隊と協力しながら土星からの猫を取り押さえ、破壊されたバースト像を〈夢見〉で修復した。すると陥落地帯に月の光が戻り、バーストが月上に顕現した。するとその旧き神の力によって土星からの猫はたまらず退散し、月面にあった隕石状の宇宙船は中からおぞましい悲鳴を轟かせながら消滅した(土星からの猫はグレート・オールドワンの一柱を土星から連れてきていたのだ)。バーストはPC達に礼を言い、猫達もPC達をウルタールまで送り届けてくれた。ウルタールには猫達が戻ったことで猫バラダイスになり、PC達はまたさらに鼻の下を伸ばして喜ぶのだった。

 冒険が終わり、PC達は覚醒の世界に戻って来た。昨日と何も変わったところのない、平和な世界だ。横にいるアッシュとブライアンはもう夢の中でのように喋ったりしない。しかし、「ありがとう」と言いたげな目をして、PC達と共に同じ空を見上げるのだった。
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 新歓ではありましたが、思い切って趣味を出してみました。不安ではありましたがとても楽しいセッションとなり大満足です。最後の像を修復する時の〈夢見〉に失敗しまくり、要求MP量も多めだったのもあって最終的に60MPも使ってしまっていたのがハラハラしました。
 ドリームランドは楽しいです。ドリームランドをやろう!
感想 > クトゥルフの呼び声 | comments (0)

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