disillusion 〜幻想破壊奇譚〜

今回のゲームの舞台はミラルゴ国。

複数の遊牧民の部族が国内に住んでおり、国家としての意思決定は部族の代表者会議で行うような広大な国家である。イメージはモンゴル、水平線、騎馬民族。そんな感じ。

PC達はそのミラルゴ各部族の中でNO.4の地位にある部族、フラム族(命名はPLの合意によった)のトップメンバーたち。ミラルゴ国のレベルで見ても、それぞれの冒険者職業においてNO.2を誇る歴戦の勇士たちである。(数値で言うと7レベルです)

部族の若頭(次期族長)、盗賊のギルドマスター、ファリスの騎士団の聖騎士、肩書きはないもののその腕は7レベルのシャーマンとソーサラーと錚錚たる顔ぶれが並んだ。

それほどの実力を持ちつつも、まだNO.1が存在するという事実は、我々が行動する際に十分な慎重さを持たせてくれていた。その慎重さが、我々がここまで部族を維持させて来るのに必要なものだったのだろう。

ところが、ゲーム本編に入ると、我々は自分達の実力を誤認し、慎重さは次第にふっとんでいき、最後の決断を見誤らせたのだった。その過程をお教えしよう。
まずゲーム冒頭のシーン。若頭はNO.2の部族を治める剣士、ミラルゴ国のNO.1ファイターと決闘を行う事になった。
何とか口八丁でフル・ポテンシャル(肉体強化)を使用させてもらって決闘に挑むが、「やはりこの戦い、分が悪いのではないか」と不安を抱きながら行く末を見守る我々。(まだ実力の評価は正常です)
そんな中で戦いが始まる。互いになかなか剣を当てる事ができずに、一進一退の剣戟を繰り広げる。が、やがて若頭の一撃が命中する。それは、全てを終わらせる恐ろしく強力な攻撃だった。
その一撃はなんと、相手の首筋を一刀の元に貫き、彼の命を絶ったのだ。(ダメージダイスで2回も回ったのでした)

ミラルゴ国NO.1の武人を一刀にしたNO.2だった武人がここにあった。国家最強の武人、ここに誕生せり、である。
我々はここで自己認識を少し改める事になる。「ひょっとして俺たちはむちゃくちゃ強いんじゃないか?」
これが我々を調子付かせ、実力を見誤らしめた前半の話だ。

では、後半の誤認のエピソードを話そう。

我々はとある強大な相手と対峙していた。
その相手はやはりかなりの苦戦を強いられるであろう強力な敵である。我々の中から戦死者が出るかもしれない、下手をすれば全滅をしてもおかしくないほどに強大な相手と戦うに至った我々。
奴との戦闘が始まり、開幕、我らがソーサラーは駄目元で1つの魔法を唱えた。「パラライズ(麻痺の魔法)」と。
そこで出た目が何と6ゾロ。相手は当然抵抗できるはずもなく、ほんの一瞬にして我々は相手を無効化。一瞬にしてその強大な相手を討ち取るのに成功したのだった。

無傷で相手を討った我々は、自己認識を完全に新たにする事になる。「圧倒的じゃないか、俺たちの力は!次期ミラルゴは我々の時代だ!」と。
テンションは絶頂に至り、完全に調子付いていた。幻想の見過ぎである。

これらのエピソードがあったため、国家の危機となるシナリオのボスとの戦術を考えるシーン。
身内にリスクを出すけれども確実に勝ちに行く選択肢や、部族間での強調を強める選択肢など、複数の選択肢があった。が。
「あの武人を一刀の元に葬り去った戦士と、かの強大な者を一瞬にして打ち破った魔術師の二人の力が我々にはある!これ以上他に何を必要とするものがあろうか?」
と考えた。結局、パーティー全員でお供を2人ばかりだけ連れて突貫と、実に自信に満ちた戦い方を選んだ。

そして意気揚々と立ち向かった最終戦闘。
自分達が元々持っていた実力を正確に分からされる時が訪れる。
開幕直後の1ターン目。PC達は攻撃を相手に打ち込むも、ほとんど相手にはダメージを与える事ができない。「おかしい、どういう事だ?」と思い始めるプレイヤー達。
そして、さらにボスの攻撃。我々が自分達の実力を見誤っていた事を思い知らされる一撃が来た。相手の出目は普通だったにもかかわらず、なんとその一発だけで、パーティーメンバー全5人のうち3人が一瞬にして戦闘不能状態に陥り、戦線は完全に崩壊したのだ。全く何の言い逃れのしようも無いほどの敗北であった。

真に強力だという事はかくも恐ろしきものか、と思い知らされた我々は、相手の要求を受け入れて、粛々と自分達の傲慢を受け止めてその後を過ごしたのだった。


#いやー、ダイスの出目が良過ぎるのも問題なものですね。
感想 > ソード・ワールド | comments (4)

Comments

Voltz | 2007/02/05 22:02
>katala
記事を書いてから目を惹くタイトルってどんなのがいいかなあと思ってたら、無意識のうちにSound Horizonのネーミングが一部作用したみたい(笑)

確かに言われた通り、政治も個人戦闘能力も騎士団長がいなくなると全然変わってくるから、PCの戦略も戦術も大きく変わってたのか。納得。

でもそれに応じて大きく変わったシナリオ展開にもかかわらず、全く焦りも何も見せずにGMをやり通していたとはさすが。
katala | 2007/02/05 15:38
うお、なんかすげえカッコいいタイトルが付いてる。シナリオ作成者兼GMの意図しないものであることを付記しておきますw

さらにシナリオ作成(ryとして言わせてもらえば、政治バランス的にも個人戦闘能力的にも重要な騎士団長(=No.1ファイター)が落馬するまでのはずの決闘で絶命しては、同じ展開になろうはずもないですな。
Voltz | 2007/02/05 10:05
>DAWN
編集ありがとう。
ブログに長文を上げた事は無かったので、そちらに気が回ってませんでした。
以後、気をつけます。

そんな真逆の展開になったのか。
そちらの展開の方が、終わりよければ全てよしという感じで後味がすっきりしてていいなあ。成長物語って感じで。
今回のは見てのとおり、竜頭蛇尾な没落物語だったので(笑)
DAWN | 2007/02/03 23:41
長かったので「続きを読む」に編集しました。しかし、同じシナリオのはずですが僕がやった時とは随分と展開が変わったようですね。前回は負け続けで最終戦だけどうにか勝ったような感じでしたけど。

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